241022 : 煙草

日記

昨日今日と多少ましになっているものの、最近心が弱っている。三日前の土曜は救いようがないほどひどく、真昼間から部屋で鬼殺しをちゅうちゅうと吸い、気がついたらソファで泥のように眠っていた。目を覚ますと17時を少し過ぎている。無性に叫びたかったので一人でカラオケへ出かけ、帰りには寿司屋で21貫入りで1,300円のパック寿司を買う。何膳お箸をおつけしますかと問われて、あまり一人でこの量を買う客はいないんだなあと気づき、一人でもりもりと食べている姿を想像されることへのほのかな羞恥心から不要ですと断る。

部屋で残りの酒を飲みつつ寿司を食べるも、ざわざわとした胸の感覚は落ち着かない。そんなとき、ふと煙草を吸ってみようかと思った。これまで避けていたが、煙を体に含ませつつ呼吸していたら気持ちも落ち着くかもしれないし、何よりも、喫煙という行為をとることで、こんなにも私は弱っているんだということを周囲に見せられるかもしれない。

談話室にいる友人にコンビニへと付き合ってもらい、彼の勧める銘柄を買う。寮に戻って喫煙所で作法を習い、借りたライターで火をつける。口に含んだ煙を肺に入れるとひどくむせたので、口内に取り込んで吐き出すにとどめた。元から煙草のにおいは嫌いでなかったので、案外すんなりと吸えた。吸い終えて談話室に戻り、酒を飲んで管を巻いた。ほんのりと指先に残る香りを未練がましく楽しんでいた。

翌朝、ぼちぼちバイトに向かった方がいいというのに、煙草を吸いたい欲求に突き動かされた。急いでコンビニでライターを買って一服していると、知人に「似合いますね」と声をかけられる。「別に似合うようになりたかったわけじゃないんですけどね」という気障な台詞は喉元で飲み込んで、私は少し照れて笑った。喫煙者という属性を手にしたことと、それを似合うと言われたことが嬉しかったので、素直に受け取ることにした。

少しずつ心も平静を取り戻してきたので、お役御免だと自分に言い聞かせながら煙草を泣く泣く人にあげた。それでも深呼吸の口実が欲しくなったので、結局ニコチンレスのVapeを買い、屋上でひとり静かに吸った。空気に溶けていく白い煙をしばらく愛でていた。