寮の食堂で作業をしている。今日提出の課題をし、明日の読書会に向けて本を読んでいる。自分の前に広がる空間ではこたつに入った寮生がわいわいと歓談をしていて、そこに混ざりたい気持ちを感じるけれども臆病な私は結局1人で食堂の長机に座ったままでいるのだった。
大学構内での集会を終えた一行が食堂へと賑やかに戻ってきたので談話室に逃げ込んで作業を続けることにした。こたつに入ってしばらくし、少しずつ温まってきた脚を冷えた手で触ることで、食堂が思いの外寒かったのだということに気がつく。
こたつに入ったまま突っ伏して寝ている人間のスマートフォンが10分おきに時間が来たことをけたたましく告げる。彼はその度にのそのそと画面を見つめるけれど、その度にまた眠りへと落ちる。3度目の電子音が鳴った以降20分程度経ったけれど、もうその音はならない。
一緒に作業している先輩も今週体調を崩して以降それを引きずっているようで、私と同じく息をするのが少し苦しそうでいる。眠った友人が一番健康的な呼吸音を立てている。
一度読んでみたけれどあまりよくわからなかった物語を、巻末の簡単な解説を読んだ後、時間をあけずにもう一度読んでみると、さっきよりも一つ一つの言葉が入ってくるように感じる。こんなこと書いてあったっけと何度か思うくらいに、最初に目を通したときには読んだようで読めていなかった。