250419:カルツォーネ

日記

思えば、価格が1,000円であることとか、手提げ袋の有無を聞かれたこととか、気付くきっかけはいくつかあったはずなのだ。

昨日のなんとない夜更かしのために目覚めたのは朝の10時。保険のためにかけたはずのアラームがなければ起き上がられなかったわけで、昨日の私は本当によくやってくれました。

読み終わっていない読書会の本と格闘したり洗濯物を干したりと、諸々が片付いた頃には読書会が1時間後に迫っていた。慌ただしく自転車にまたがり、参加場所への道中で昼ごはんを考える。なるべく動線上にあって、ちょっと美味しいもの。そういえばと大学近くの天ぷら屋を思い出す。しかしあいにく、閉まっていたのである。

今日はちょっと牛丼屋の口ではないのだけれど、いかんせん時間がなあ。交差点で唸っていると、視界に入れるだけでまだ世話になったことのなかったピザ屋が目に入る。近づいて黒板を見てみると、ランチタイム限定で1,000円カルツォーネが売られているとのこと。慣れないながらにチーズ増量トッピングを頼んで会計を済ませようとしたとき、手提げ袋の有無を問われた。コンビニやスーパーでパンをひとつ買うときのノリで、不要ですと答えた。

5分後、カルツォーネはピザがまるっと1枚入るダンボールに入って出てきた。なるほどね。

太陽がとてもよく照っている土曜の昼。暗い色の長袖で来たことをしっかり後悔するくらいの陽気な日に、裸のピザ箱をしっかりと手に持っている姿はきっとあまりにも浮かれ過ぎている。こんなとき、私の自意識過剰さはとてもよく働いてくれるから、ピザパをする訳もない独りの大学生ですと言わんばかりの早歩きを自然と披露していた。いかんせん暑すぎる。目立たず座れる程よい日陰を探す。

落ち着いたベンチは馴染みのない学部の校舎の真向かいで、平日だったら肩身が狭い思いをしたかもしれないけれど、今日は休日。そんなことはなかった。

デフォルトの量を知らないから、果たしてチーズが増量されているかどうかは知りようがないのだけれど、しっかり存在を感じられる味で美味しかった。木陰の風が気持ちいなあと思いながらモリモリと食べていると、お近づきになりたいと思い続けていたお兄さんが近くを歩いている。四桁円クオリティで、しっかりとしたピザ箱に入っていたカルツォーネは、手を振って呼び止めるには十分な口実だった。