天気はくもり、時刻は十八時二十分ごろ。私は向こうの歩道沿いにある公衆トイレに行くために信号を待っていた。対岸の歩道は川と平行に走っていて、隙間のよく開いている手すり越しに水面が見えている。しかし川の上を平行に走る道路が明かりをさえぎるせいで、様子は暗くてよくわからない。
赤信号が青へと変わる。
どろりと黒い川は流れがない分より一層澱んで見える。水面は油が張られているかのようにてらてらと光っていて、対岸に立ち並ぶ建物をゆらゆらと映し出している。写真を撮る。

川を垂直に貫く橋の上に移動し、再び水面を見てみると、不思議とそこには先ほどよりも動きがある。像はより一層縮れ、元の形を想像することがやや難しくなっている。写真を撮る。無骨な灰色のコンクリートの柱に囲まれながら伸びる黒い川、くすんだ緑の手すりと赤い警告灯は白い空によく合っていた。
