250418:華金

日記

19時を数分過ぎて、そろそろ晩ご飯を食べに寮に帰ろうとしながらなんとなくLINEを開くと、「もう着いたよ」というメッセージが表示されていて、一瞬意味がわからなかった。

大好きな先輩との食事の予定が明日ではなく今日だったことに気がついた私は、反射的に電話をしなきゃいけないと思って図書館の中でも3階にのみ設けられている通話ブースに小走りしていた。そういえば机の上に無防備なまま財布を放置してしまっていたのだけれど、取りに戻る時間が惜しくてそのままに階段を駆けた。

電話で平謝りした私に、先輩は「白橋くんと中華を食べる口になってるから待ってるよ」と言ってくれたものだから、私はすぐに荷物をまとめて自転車を漕ぐのだった。ちなみに財布はちゃんと元の場所にあってくれた。

寮に自転車を置いて、地下鉄の駅へ早歩きをする私の姿はさぞかし前につんのめって情けなかったことだろう。季節感を間違えてジャンパーを羽織ってきてしまったせいで、電車に乗った頃には身体がだいぶしっとりしてしまっていた。

改札に着くと、先輩は馴染みのピンク色の可愛いヘッドホンをつけながら本を読んでいた。それから美味しい中華料理屋さんに2人で歩いたのだった。

たくさん話をした。最近の私の悩みごとも、先輩の仕事のことも、お互いが最近観た映画のことも、読んだ本のことも。料理名を忘れてしまった春雨の激辛炒めはとても美味しいけれどとても辛くて、食べ切るためには青島ビールを一本と、大盛りのご飯と並盛りのご飯を一杯ずつ頼まなければならなかった。

食べ終わって外を歩いた頃には風も涼しくなっていた。先輩も私も独り身で、やっぱり相手が欲しいし結婚したいという話をしながら、しばらく一緒に歩いた。ここ2人でくっつくことができたら丸く収まりそうだけれど、お互いに恋愛の相手は女性である必要があるって幻想を抱いてしまっているからしょうがない。友達みたいな付き合いはできるし心地いいけど、私も先輩も、同性の私と先輩じゃあお互いの欠けを埋めることはきっとできないと知ってる。

「お前みたいな、ねちょねちょしたやつはごめんだな」と笑ってくれるのに合わせて、私も笑った。