『リアリティのダンス』(A. ホドロフスキー)

その他摂取映画

 少年は踊った。商人である父を言いくるめてマネキンから奪い取った、新品の赤い靴を履いて。ドアを開けて街へ繰り出し、灰色の階段を身を捩って駆けた。親の叱責も同級生の嘲笑も忘れ、顔に満面の喜びを湛えて。

 女は踊った。悪夢にうなされる息子の手を取って。闇が怖いなら、私たちが闇になってしまえばいい。そう言って少年と自分の肌を炭で黒く塗った。彼らは服もまとわずに、電気を消した家の中でかくれんぼした。

 男は踊った。胸に抱いた大義のために。自らに課した理想のために。感染症を運ぶ流浪の民に、勇敢にも水をくれてやるのだと運んだが、ロバを失い、病を被るに終わるだけだった。最大の敵である独裁者を前に、引き金を引くことができなかった。失意のうちに一時は記憶も失った。

 男は踊った。妻と息子のもとに帰りたいのだと、ただその一心で踊った。それはとても滑稽で、ひどく人間臭かった。