白橋つむぐ

作り話

浮き沈み

朝起きたら、私は不思議な性質を持った高校生になっていた。その性質とは、心が軽くなったら体が宙に浮かび、心が重くなったら体が地面に沈み込むというものだ。なんだか不便そうな体だなあと思ったが、私はこの性質を抱えたままに高校生までやってきているみ...
日記

240808

とても天気がいいのでシーツを洗濯した。ついでに布団の中身も天日干しすることにした。しばらくぶり。もっと頻繁にした方がいいことはわかりきっているのだけれど、屋上までそこそこ距離があるし、布団は重くて運ぶのが面倒だし、天気がいいってことはすなわ...
作り話

魔法使い

もう長らく忘れていたが、小学校に入る前の幼い頃、私は仲が良かった友だちと、二人の老人が住む家に足繁く通っていた。行くようになったきっかけは忘れてしまった。きっと道路でサッカーボールを蹴り合って遊んでいたときに、誤ってボールを庭に蹴り入れてし...
日記

240807

大学で友人と会った。2ヶ月と少しぶりに話したが元気そうだった。このWebサイトに載せている私の文章についてのコメントを、それはもうたくさんもらった。一番耳が痛かったのは、最初の方が文章が素直だったね、という指摘。書き慣れてくるにつれて、自分...
作り話

石と木箱

あまりにもすることがなかったので、家から少し離れたところにある大きな図書館に行くことにした。館内をふらふら歩きながら、遠い国の昔話でも読んで現実とは違う世界に思いを馳せてもいいかもしれないなという思いに至り、歴史なのか神話なのかよく分からな...
日記

240806

今日もまた、小さな物語を書いた。昨日の夜に大まかな筋は決めていたので、今日はそれに基づいて書き上げるだけだった。透明感があって、広がりが感じられる曲を添えたいと思った。概ね成功したように感じる。書き上げたのちに、中のいい先輩に目を通してもら...
作り話

梯子

こんな梯子がある。それは人と人とが約束事を交わすときに生まれる、地面から空に向かって垂直に伸びる梯子である。自分の手の先に待つ空間を見ようと上を見ても、靄がかかっていてよく見えない。しかし、自分より下の空間は透き通って明瞭に見えるので、これ...
日記

240805

今日はたくさん文章を書いた日。異なる友人に、それぞれ長い長いLINEを送った。それなりに、丁寧に書くことができた。昨日書いた「未練」と「憐憫」について、寮の友人や先輩に呼んでもらってコメントをもらった。いろんな感想を聞くことができて嬉しかっ...
作り話

憐憫

私が親元を離れたのは大学生の時である。片田舎から上京する折に家を出て、そのままこちらで就職し、数年が経った。実家に顔を見せに行かなければと思う一方で、地元にいい思い出がなくて帰省を億劫がってしまう。根無し草のように、ふわふわと暮らすことので...
作り話

未練

私は自室での時間を好む。自室においては、私以外の何者も私を眼差すことはない。その事実が私を解いてくれる。しかし、自室では安らぐ以外の何もできなくなる。糸が切れたように、ぼんやりと時間を過ごすこと以外には何もできなくなる。だから、何かしたいと...